地域の皆さんの要望と佐久市の観光の魅力づくりとして「みはらしの湯」がつくられました。
私の市長就任当時は、新たなクリーンセンター候補地は岸野から桜井にかけての位置でした。
地域からの反対もあり膠着状態となっていました。
職員との長い協議の末、当該地は断念し、公募を行うこととしました。
公募に至った場所は、内山、猿久保、平根。誰もが排出するごみです。
その焼却を行うことを受け入れ可能であるかどうかについて真剣に検討頂いた皆様には、今も頭が下がります。
それは、公募には至りませんでしたが大沢も同様です。
結果、全住民アンケートを行い約80%の同意を整えた平根地区が候補地となったのです。
平根は関係4区。上平尾、下平尾、横根そして紅雲台。
「紅雲台」の「紅(くれない)」とは、桃の花の事で、そこから見える平尾山麓の桃園の姿が雲のようであったと元内閣官房長官井出一太郎先生が命名したのです。
今も紅雲台の公会場にその額が飾られています。
桃農家の皆さんは、上信越自動車道建設によって多くの農地を失いましたが、地域の発展には高速道路は不可欠であることを十分に認識されていました。
丹精込めて育てた優良桃団地は失われ、高速道路や全国で三番目となるハイウェイオアシス、平尾山公園、カブトムシドーム、昆虫体験学習館等が建設され、後にはスマートインターも設置され農村であったその地域は、佐久平の玄関口へと変貌を遂げていったのです。
10年、20年と時は過ぎ、平成26年、新クリーンセンター建設地が平根に決まりました。
利用は、佐久市、北佐久郡、南佐久郡の約17万人。
期間は30年。
クリーンセンターは、迷惑施設ではありません。
しかし、その場所を決定することは著しく困難で、全国には20年近くその場所が決定できずに彷徨っている地域もあります。
この新クリーンセンターを建設する極めて大きな理由は主に以下の2点です。
①安価に処理が可能となり経済的。
②自前のクリーンセンターを持つことにより、他者に依存せずに処理ができ、極めて安定的。
民間クリーンセンターでの家庭用可燃ごみの1トンあたりの処理費用は、5万円超。
これに対し、新クリーンセンターでは3万3千円。
1トンあたり1万7千円を超える経済性が生み出されます。
次に安定性です。
今、中込中央区にあるクリーンセンターの焼却灰は、山形県の民間企業で処理しています。なぜならば、課題も多く、県内はもちろん、近県でも処理を受け入れてくれる企業がありません。
以前は山口県、その前はフジコーポレーションで処理をお願いしていました。
つまり民間に依存するということは、何らかの事情で搬入が出来なくなった場合、次の民間事業者を探さなくてはならないということです。
焼却灰処理も廃棄物焼却も同様です。
私たちは、30年間の安定性を手にしたのです。
その施設を受け入れた平根地区対策協議会から正式に出された要望は、温浴施設の建設でした。
この要望は平根地区の長年にわたる要望でした。
市として試算と検討を重ね、受け入れていくことを決めました。
建設費用は、総額18億円。
費用負担は、一部事務組合(新クリーンセンターを運営する組織)を構成する佐久市、軽井沢町、立科町、御代田町で行います。佐久市の負担額は、12億6千万円。
その財源を佐久市は、合併特例事業債を充当しますので、市民10万人で負担する金額は4億2千万円となります。
以上の説明でご理解頂けると思いますが、地域要望である温浴施設の財源を合併特例事業債に求める以上、私たちが辿ったこのタイミングでなければ建設出来なかったのです。
この時期を失えば、国、県からの補助などあるはずもなく、市民負担は今の3倍が必要となるのです。
説明を加えなくてはならないのは、この温浴施設は、地域要望であるのと同時に佐久市の観光の目玉である平尾山公園、パラダに加えての魅力づくりだという点です。
以上の説明により、市議会全会一致で温浴施設の建設が決定しました。
あの桃団地で作業をしていた人々は、「ここから見る夕陽は他に類を見ないほど美しい」ということを知っていたからこそ胸を張って見晴らしの良い場所に温浴施設建設を求めたのです。